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第一章 『ウィズウィズの戦士たち』 [企画]

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    こっちへおいでよ…

「おいでおいでってわたしたちをさそってるよ。
でも声しか聞こえないね……」
細い触手が戦士のマントをギュっと握り締める。
「………」
戦士は相変わらずの無口だ。閉ざされた口は何もモノを言わない。
この人は何も喋らないのに立派な戦士様に
なれるなんてなんてステキなんだ!…と触手の主は思った。
この触手の主はいわゆるホ/イ/ミ/ス/ラ/イ/ムである。
しかし、低級モンスターには珍しく、
人間の言葉を理解し扱うことができるのだ。
「いつか人間になるのが私の夢なんです。」
その夢の為に人間の言葉を覚えたというのだから脱帽ものである。
「おいでおいで」という呼びかけ通りに
古谷の底を歩いていくふたり。
やがて、意味深長な宝箱のある部屋に辿りついた。
パカッ
不思議なことに宝箱はひとりでにその口を開いた。
その中から、羽の生えたひと組の靴が姿を現す。

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「さぁ、僕を履いて、空を飛ぶんだ」
頭の中に直接響いてくるような呼びかけ。
「空を飛んでいった先には楽しい玩具がたくさんあるんだ」
フン…
戦士は軽く溜息をついて、その靴を握った。
「ぁ…、ここでは履かない方が――」
彼女の制止は間に合わず、靴を履いて飛び上がった戦士は
天井に頭をぶつけ、しばし気を失うこととなる。
 
    トンッ!

白髪のロングヘアーを毛先で結えた魔法使いは
愛用の箒の柄を床に打ち付けた。
「これより、賢者様からそなた達に話がある。心して聞くように」
戦士達は一斉に身を低くし、頭を下げる。
「皆の者、楽にして良いですよ。
 最近、子供たちがいなくなるという噂は
 貴方達も聞いているでしょう。
 …それも可愛らしい女の子や男の娘ばかり。
 パンヤ島の賢者として、もはや放っておく訳にはいきません。
 事の真意を確かめ、この私に報告しなさい。
 行け、我が戦士達よ!」


   ムクリ・・・

戦士は目を覚ます。
頭に強い衝撃を受け、そのまま気を失ったようだ。
となると体は地面に強く叩きつけられたはずだが、
どこにも怪我はなかった。
「お目覚めですね!」
頭上からふよふよと降りてくる影がひとつ。
数刻前、仲間になりたい!と半ば強引に
同行することになったホ/イ/ミ/ス/ラ/イ/ムだ。
どうやら、見張りをしていてくれたらしい。
「……!!」
降りてきた彼女を見ると体中傷だらけだった。
「ああ、これですか」
その驚きの視線にクスっと笑いながら
「戦士様のクッションになったのです。
 とっさのことで体が勝手に動いただけですから
 気になさらないでくださいね。
 戦士様、意外と軽かったですし」
と健気に答えるのである。
その笑顔を見た戦士は、心を打たれるとともに
自分に与えられた指名を果たさなければと決意した。
しかし何故、可愛らしい女の子や男の…
はて、“男の娘”とは何なのだろうか?
どうやら、単なる男の子ではないらしいが…

   ふるふる!

戦士は首を振り、気を正す。
今考えるべきは、この靴と事件の因果関係。
ひとまず、この井戸から外に出なければ!
戦士は傷だらけのホ/イ/ミ/ス/ラ/イ/ムを
片腕で抱き、古谷の底を後にするのであった。


角度の浅い光が目に差し込み、朝露の香りがした。
この谷底に入ったのは夜更けだったが
いつの間にか朝を迎えていたらしい。
羽の生えた靴も気になったが、
ホ/イ/ミ/ス/ラ/イ/ムの怪我も気になり、目をやった。
その視線に気が付いた彼女は
「いきましょう!」と力強く答えた。
戦士は一瞬と惑ったがその覚悟を酌んで、
コクリと頷いて、再び靴を履くのだった。


靴で飛んだ先は、陸路では辿りつけない
とある塔の頂上であった。
怪しい…と皆、口を揃えていたが
確かめる術がなかった。
そんな塔の中を足早に下へ下へ降る
戦士とホ/イ/ミ/ス/ラ/イ/ムの奇妙なペア。
襲い掛かる魔物とイチイチ対峙していては
この先に待っているであろう主犯格と戦う際に
力負けしてしまう可能性がある。
そして何より、
片腕に抱くホ/イ/ミ/ス/ラ/イ/ムのことが心配だった。
先ほど出会ったばかりなのに、ずっと以前から
一緒に居たような感覚を戦士は覚えていた。

「お、おい……」
か細い弱りきった声がした。
地下へと降りる階段手前の柱の影に
傷だらけになった同僚の戦士が座り込んでいた。
「私はもうだめだ……」
男の前に腰をおろそうとした戦士を手の平で制し、男は続けた。
「いいかよく聞け……。
 世界のどこかで地獄の帝王が復活しつつあるらしい。
 しかし予言では帝王を滅ぼす勇者も育ちつつあるらしいのだ。
 勇者がまだ力をつけぬ子供のうちに見つけ出し、
 闇に葬るつもりなのだろう。
 …どうして可愛い子ばかり狙うのかは分からぬが、
 そういう血筋なのかもしれんな。
 たのむ! 子供たちを守ってくれ……!」
戦士は深く頷き、その場を後にした。
この先に同僚に深手を負わした敵が居る。
気を引き締めなければ、勝てぬ相手だ。

「おや…? 本日もう2度目ですか…」
神官のような姿をした見たこともない魔物は
戦士を見下し、溜息をついた。
「名も無い王宮の戦士などに用はありません。
 …やっておしまいなさい、大目玉」

   キィィィィ!!!

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爆発的な加速で突進してくる魔物。

勝負は一瞬だった。
真っ二つになった魔物が床に落ちる。
「ほう…」
主犯らしき魔物が戦士へ歩み始める。
「命知らずなやつめ、そんなに死にたければ
 願いを叶えてやろう。」

戦いは熾烈を極めた。
手負いのホ/イ/ミ/ス/ラ/イ/ムをしつこく物理攻撃で
攻めてくるものだから、戦士も庇うのに必死になった。
辛勝という言葉が当てはまるだろうか。
ふたりはボロボロになりながら、どうにか勝利したのだった。

攫われた子供達を送り届け、
城に戻った戦士は賢者に謁見する。
「よくぞ戻りました。この度の貴方の働き真に見事でした。
 貴方のような家来を持てて私はとても誇りに思います。
 そうですわ褒美を取らせましょう!
 何か望みはありませんか? 何でも言いなさい」
戦士は、賢者への無礼を承知で、
まだ子供である勇者を見つけ、守りたいと賢者に懇願した。
「…わかりました。それが貴方の望みなら止めはしません。
 これは私からの餞別です! 受け取ってください!」

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こうして戦士は
この地のどこかにいる勇者を求めて旅に出たのでした……。


第一章 『ウィズウィズの戦士たち』 完
 
nice!(8)  コメント(2) 
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コメント 2

ぱーるぅ

普通に面白かったし\(^o^)/ww
今後の展開に期待してますね(ん)


後ホ/イ/ミに猫耳っぽいものが生えてるのは気のせいですかそうですk・・・
by ぱーるぅ (2010-12-06 11:00) 

TomRodica

ほちゃさん、リンファさん、もけろーさん
だーとさん、ぱーるぅさん、にょぞみさん
アーニマさん、ぱるぴさん
ご訪問&ないぽ感謝(o`・ω・)ゞデシ!!

▼ぱーるぅさん
第一章は最後のオチへの伏線です。
それ以外は適当です(マテ
猫耳っぽいの生えてましたか?!
これはうっかりうっかり!!
 
by TomRodica (2010-12-09 22:11) 

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